氷上回廊とは
太古の昔から続いてきた氷上回廊(ひかみかいろう)をとりまく豊かな自然と文化
それを五感でうけとること、そして未来へ贈ること・・
里山の荒廃、田畑の荒廃
氷上回廊周辺の森や水辺の生きものたちは今、地球温暖化だけでなく、いくつもの困難な荒波に同時に襲われています。
それらの荒波は、私たちの社会との深い関わりの中にあります。
太古の昔、生命豊かな森や水辺は、太平洋・瀬戸内海側から日本海側まで、連続して広がっていました。
やがて人が関わる里山や水田の風景となっても、祖先たちの様々な工夫の結果、持続可能な“人と自然の共生”が保たれて、生きものたちは活発に往来していました。
ところが、最近の50年ほどの間に私たちの社会は大きく変化しました。 燃料革命や工業化により多くの若者が農村部から都市部に移り住んでしまい、里山や田畑から人が遠ざかってしまいました。
その結果、里山や田畑が急速に荒廃して生きものたちのバランスが一気に崩れ、不運にも生物多様性は急速に衰えつつあります。
また、土木技術や農林技術の急発展のおかげで山間部まで河川改修や道路改修が進み、大規模な伐採や樹種転換も奥地にまで及びました。
ところがその結果、一部では水辺や森のとても大切な部分が大きなダメージを受けてしまったのです。
私達に豊かさをもたらすはずの技術が、一部では逆に生物多様性を衰退させ、地域の豊かさを目減りさせてしまったのです。
未来へ守り継ぐ宝物
私たちは今、もう一度、豊かさの本質を見つめなおさなければなりません。
未来のために失ってはいけないもの、破壊してはいけないものは豊かな自然との共生、多様な生きものと共に生き、共に栄える暮らしです。
そして、何よりも“自然と共生する心”こそ、祖先から受け取った大切な宝物として、未来への子供たちへ守り伝えなければならないのです。
今、この地域を愛する人たちの間ではいろんな工夫が始まっています。 たとえば、美味しい有機野菜やお米を通じて20年来都市住民と地元住民とで豊かなつながりを結び、自然を大切にしてきたグループがあります。
子どもたちに里山遊びを伝えているグループ、都市住民と一緒に、棚田の再生を楽しんでいるグループ。
また、荒廃した竹林の再生を通じて河川の再生や新しいコミュニティづくりに取り組んでいる人たちや、都会のカフェと一緒に新しい里山の魅力を発掘している人たち。
それぞれ、自分にとって一番大切なテーマや一番楽しい切り口で関わっている皆さんたちで、その横顔はとても生き生きしています。
さて、これをお読みのあなたなら、どんなことをしますか?
五感で感じ、一歩まえへ
氷上回廊を取り巻く地域には、おり立った瞬間からどこか懐かしい“里山”や“田舎”の風景が広がっています。 そして、その一見ありふれた風景の中に太古の昔から続く、多彩な生きものたちの歴史や人々の暮らしが息づいています。
まずは、そんな氷上回廊に吹く風を、五感いっぱいにうけとめに来てください。
この地域の人々も自然も、みなさんのことをとても温かく迎えてくれるはずです。
そして、あなたの五感が一番喜び感動したもの、直感に“ぴん”ときたところから未来へ贈るあなたの一歩を始めてみませんか。
皆さんのその一歩は、きっと、未来の子どもたちの笑顔につながっています。