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氷上回廊

丹波自然の友の会

人と自然のふれあいを守る
Protecting human contact with nature

「自然科学方面の学問が観察から出発してゆくのが常道なれば、氷上郡下の理科教育が郷土の自然から離れては成り立たぬものと考えられます。」

丹波自然友の会発足20年前に「氷上郡の自然研究」第一号の巻頭に書かれた理念をもとに、郷土の人々に郷土に対する正しい自然観をもってほしいとの思いから、自然研究は始まりました。
昭和43(1968)年、当時の氷上郡の教員による研究グループを母体として、一般の人にも郷土の自然観察と正しい知識をもってもらおうと「丹波自然友の会」が発足しました。

結成から50年以上経った今でも、その活動は絶えることなく続いています。

また、2010年に行われた観察会において、会員が兵庫県版レッドリストAランクに指定されている希少な腐生植物「シロシャクジョウ」を、県内で70年ぶりに再発見するなどの功績もあげています。

丹波自然友の会とは?

教員を中心とし発足した丹波自然友の会は、60~70代の自然を愛する人々で構成され、現在約120名の会員が在籍しています。会の活動としては、丹波市内にとどまらず、市外県外へ出向き毎月1回、自然観察を行う例会を開催しています。例会後には次回例会の案内や、当月の活動を写真やイラストなども交えてまとめた会報を全会員に送付しています。
今回は第6代目の代表である梅垣守明さんにお話を伺いました。
Q1
丹波自然友の会との出会いを教えてください。

今から35年前に小学校教諭として勤務していた時、学校の近くでタンポポに似た花を見つけ、友の会の初代代表であった松山確郎先生のご自宅に伺い、それが帰化植物のブタナであることを教えていただいたことが入会のきっかけです。それ以降、毎月の例会に参加しては、松山先生に教えを請いながら、草花の名前をメモしたり、スケッチしたことは良い思い出として残っています。当時は教職との両立でしたので、全ての活動に参加できたわけではありませんが、楽しんで活動に取り組めました。
発足当初は23名だった会員も、現在では約120名に増えました。活動の内容にも変化があり、草創期には氷上の自然、気候など実に専門的な研究者としての目線で行われていた考察も、広く一般の方にも普及したことから、身近な自然を通しての自然観察とふれあいを行うようになってきています。
Q2
会の活動について教えてください。

月に一回の例会と、年に一回の総会を開催し、その内容を会報にまとめ会員へ送付しています。
例会の内容は季節や地域の魅力を盛り込み、趣向を凝らした内容になるよう努めています。
具体的な活動としては、丹波市内の植物に名札をつけながら、知識を学んだりしています。
植物の名札付けでは、事前にどの場所にどのような植物があるのかを調査します。そしてその木の名前と科目を書いた札を用意し、当日は自然の中をゆっくりと歩きながら、「この木はこのような建築物などに使われているんですよ。」など身近な例をあげて一本一本解説を交え札をつけていきます。木の特徴や名前を覚えてもらい、親近感を持ってもらうことで、身近な自然を愛する気持ちや正しい知識が備わり、環境保全への第一歩となるよう貢献したいと考えています。

Q3
丹波自然友の会の未来について、考えをお聞かせください。

現在の会員は、第一線を退いた60代~70代の方が中心になっています。
毎回の例会では、その季節ごとの農作物の交換なども行われ、和気あいあいとした雰囲気の中、体力づくりも兼ねた楽しみとして参加していただいています。

発足50年という歴史ある会の活動ですので、会員に無理のない内容、自分のペースに合わせた参加ができるように努め、一つ一つの活動を丁寧に重ねていきたいと思っています。
今後の課題としては、インターネット社会に沿えるよう、ホームページなどを作成することも必要ではないかと考えています。
現在は口コミで広がっている丹波自然友の会の入会者を広く募集したり、活動を通じて郷土の自然環境保全活動を呼び掛けていければいいなと思っています。

私自身、この活動をとても楽しんでいますので、ぜひともお時間にゆとりのある方、自然が好きな方、楽しみながら気の置けない仲間と体力づくりをしたいという方のご入会をお待ちしています。
「丹波自然友の会」例会活動の一例
Examples of activities

「追入~金山~鬼の架け橋」~第1回例会場所を訪ねて~

かつて第1回例会の開催場所であった「追入~金山~鬼の架け橋」ルートを巡り、自然観察を行うとともに、会員の親睦を深めました。
(2019年3月開催)

「川代渓谷」~恐竜街道をゆく~

丹波竜発見の地「川代渓谷」を訪ね、上久下元気村から恐竜発掘現場(旧上久下村営上滝発電所記念館)まで、身近な植物を観察しながら歩きました。発見地や丹波竜化石工房「ちーたんの館」にて、丹波竜化石の発見者の一人である村上茂さんからお話を伺いました。(2019年4月開催)

「妙高山のクリンソウを訪ねる」

丹波市市島町多利地区の妙高山ふもとのクリンソウ自生地を訪ねました。数年前の発見以来、地元の「妙高山のクリンソウを守る会」による取り組みについて、世話人の方々から話を伺いました。(2019年5月開催)

「はるかな尾瀬」~水芭蕉の花が咲いてる~

福島県・栃木県・群馬県・新潟県の4県にまたがる尾瀬国立公園を2泊で訪れ、尾瀬の代表的な花「ミズバショウ」などを観察しました。(2019年6月開催)

「網引湿原を訪ねて」
~ハッチョウトンボ・ヒメヒカゲ・ヒメタイコウチ~

加西市網引地区にある「網引湿原」を訪ね、湿原に生息する貴重な昆虫「ハッチョウトンボ」や「ヒメヒカゲ」、「ヒメタイコウチ」などを観察しました。(2019年7月開催)

「八幡神社の樹木名札付け」
~植物観察の基礎を学ぶ・八幡山城の歴史~

丹波市柏原町にある柏原八幡神社周辺の樹木への名札付け活動を行いました。また、柏原八幡神社境内にて、八幡山城の歴史について足立義昭さんより話を伺いました。(2019年8月開催)